一家団欒の象徴である中秋節の由来と過ごし方、月餅の豆知識について

知識

秋風が立ちはじめ、朝夕はすっかり過ごしやくなるこの頃。
中国では、秋の一大イベントーー「中秋節」があります。
中秋節とは、毎年旧暦の八月十五日(2023年9月29日金曜日)に家族で祝う歴史のある伝統的な祝日です。
春節に次ぎ、大いに祝う祝祭日の一つです。
この記事では、中秋節の歴史、由来、楽しみ方と中秋節に欠かせない食べ物ーー月餅について紹介します。

中秋節の由来

古代中国では、人々は月を祭る儀礼がありました。
「中秋」という言葉は最初に記載されたのは【周礼】です。農暦の暦によると、八月十五日は秋季のちょうど真ん中にあたるため、「中秋」と名付けました。
唐代初期から、中秋節は固定の祭日と定められました。「唐書・太宗記」には、「八月十五日中秋節」と記載してあります。
中秋節盛んになったのは宋朝、明清の時代から、春節と並び、中国の重要祭日の一つになりました。

中秋節の別称

中秋節はいろいろな別称があります。
・日程は旧暦の八月十五日にあることから、「八月節」、「八月半ば」と呼ばれています。
・テーマは月にまつわる話のことから、「月節」、「月夕」と呼ばれています。
 また、この日の月は真ん丸くて明るいのでまるで家族団らんのようで、「団らん節」とも呼ばれています。
・北京では、「兎爺節」とも呼ばれています。なぜなら、兎爺様は北京特有の民間神で、この日は兎爺様に感謝を伝えるため、果物や豆などの供え物を置きます。

日本の十五夜


2023年9月29日は日本の十五夜です。
日本では、十五夜を中秋の名月とも呼び、ススキを飾り、芋や月見団子を供え、お月見するのが伝統的です。
平安時代、貴族の間で「十五夜」に月を愛でながら詩を読む習慣がありました。広く民間に広まってきたのは江戸時代です。
江戸時代の平民は、十五夜は秋の収穫時期と重なり、収穫の喜びを祝いながら、お月見を楽しむようにないました。

各国の中秋節の過ごし方

中秋節は中国や日本のみならず、アジア各国でも親しまれています。
・韓国では、中秋節を秋夕(チュソク)と称します。秋夕が一番重要な年中最大の祝日であり、秋夕の当日を含めて前後3日間が祝日です。韓国国民はこの休日を利用し、故郷に戻り、家族の団らんを楽しみます。代表的な食べ物は松餅(ソンピョン)です。
・ベトナムでは、中秋節は子どもにとっても特別な日でもあり、親からおもちゃをもらったり、親と一緒に獅子舞を見に行ったりします。
・タイでは、中秋節を「月を祈る節」とも呼ばれています。家族が集まり月に祈りを捧げ、「寿桃」や蓮蓉餡の餅、月餅などがお供えされます。
・シンガポールでは、中秋節はシンガポールにとって大切なお祭りになっています。シンガポール人に、この日に友人や親族に連絡取り合って、月餅を贈りあったり、お互いに感謝の意を表します。

月餅について

中国では、中秋節に月餅を食べる風習があります。

中秋節に月餅を食べる由来

元朝末期、平民たちは元朝の残酷な統治に不満を受け、武装蜂起を決意します。
当時情報伝達統制は厳しく、軍師劉伯温は、「八月十五日夜決起する」と書いた紙を月餅の中に入れ、決起軍に配りました。
その後、決起は成功し、朱元璋は月餅を恩賞として決起軍に与えました。
月餅は団らんを象徴するのは明の時代からです。中秋節に月を祭った後、供え物の月餅を家族で食卓を囲んで食べます。
月餅は満月と同じ丸い上、家族で一緒に食べることから一家団らんを象徴するようになりました。

月餅はどんな食べ物

月餅はたっぷりの餡を薄い生地で包みます。月餅の生地や餡は様々で、各地域によって作り方や味にも特徴があります。
生地は、小麦粉を濃縮シッロプと油で練り込んだしっとりもの、またはパイ生地のようなさくさく食感のものもあります。
餡は、甘いものや塩味のもの、精進餡や肉餡などがあります。代表的な四大月餅には、広東地区の「広式月餅」、北方地区の「京式月餅」、江南地区の「蘇式月餅」と雲南地区の「滇式月餅」などがあります。

オススメの人気月餅3選

五仁月餅(ウーレン月餅)

五仁月餅は、餡に五種の木の実(アーモンド、クルミ、オリーブの実、ゴマとひまわりの種)をくだいたものを包み、焼き上げた月餅です。
実は、儒家文化に「仁、義、礼、志、信」五つの道徳規準があり、五仁はそれに相応するといわれています。
五仁月餅はナッツがたっぷり入っているから、栄養価は高い一方で、カロリーも高いです。家族や友人と分け合って食べると良いです。

中秋節の月餅―五仁月餅(木の実とドライフルーツ入り月餅)の作り方をご紹介
中秋節と言えば月餅です。月餅の中でも定番の「五仁月餅」の作り方を紹介します。5種類の木の実とたっぷりドライフルーツで作った餡を薄い生地に包み焼成します。餡はお好みで手に入るものでアレンジしても大丈夫です。

蛋黄蓮蓉月餅(塩漬卵黄入蓮の実あん月餅)

お月様を模した黄色いアヒルの塩漬け卵黄を蓮の実餡の真ん中に入れてから、薄い月餅の生地で焼き上げます。
蓮の実餡は日本ではあまりなじみないが、白あんに似た癖がなく、ほくほくした上品な味わいです。

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豆沙月餅(小豆餡入り月餅)

小豆餡は日本人のなじみのある味で、月餅を初めて食べるという人にも気軽に試せると思います。
4種類月餅

月餅と食べ方

月餅は糖分と油分を多く含むお菓子で、脂っこく感じる場合があります。なので、お茶と一緒にいただくと、口の中がすっきりしておいしく食べられます。
中国茶に限らず、日本茶や紅茶にもよく合います。是非月餅をケーキのように、家族分に切り分けて、皆でお茶を飲みながら、味わっていただければ嬉しいです。

まとめ

ここまで、中秋節の由来や月餅について紹介しました。少しでも中秋節と月餅についての理解を深めれば嬉しく思います。
最後に、宋王朝時代の詩人蘇軾が中秋節の夜に(1076年)書いた《水調歌頭》の詞で締めくくりたいと思います。
「但願人長久,千里共嬋娟。」
詞の主な意味は「願わくは長久、千里離れても同じ美しい月明かりを分かち合えましょう」です。

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