クリスマスに食べたくなるシュトーレンにまつわるお話とレシピを紹介

シュトーレン 料理

毎年クリスマスシーズンになると、街のパン屋や洋菓子店に並ぶ真っ白くて重みのあるパンを見かけたことはありませんか?

これは、ドイツ発祥のクリスマスに欠かせない伝統的なパン菓子「シュトーレン」です。日本でもクリスマスの定番菓子になりつつあります。日本では「シュトーレン」と呼ばれますが、伸ばさない「シュトレン」がドイツ語の一般的な発音だそうです。

ドイツでは、「アドヴェント」と呼ばれるクリスマスを迎える準備の期間中に、薄くスライスしたシュトーレンを4週間かけて少しずつ食べる習慣があります。「シュトーレン」は寝かすと味がなじんで美味しくなるので、焼き立てから少しずつ味が変わっていくのを味わうのもクリスマスの楽しみの一つです。

この記事では、シュトーレンの歴史や特徴、自宅で簡単に作れるシュトーレンのレシピを紹介します。記事を読み終えると、シュトーレンについて詳しくなり、きっと誰かと話したくなるでしょう。また、シュトーレンを作りたいなと思ったら、レシピの参考になれば嬉しいです。

シュトーレンの歴史

クリスマスマーケット

シュトーレンはドイツ語で「坑道」の意味です。(坑道とは、鉱山などで採掘のために掘削される通路のことです。)断面は坑道に似たため、シュトーレンと名付けられました。

シュトーレンは約690年以上の歴史があります。最古の記載によると、1329年に、シュトーレンはクリスマスの贈り物として、ナウムブルクの司教に献上されました。シュトーレンの仕上げに粉砂糖が真白くなるまでまぶし、その見た目が布に包まれた赤子のイエス・キリストと似たため、クリスマスの贈り物として作られるようになりました。

あれから、約150年後、ドイツのザクセン州ドレスデン地方で広がりました。当時のシュトーレンはバターと牛乳は使われず、オーツ麦粉、水とてんさいの根の油だけで作られた味気ない質素なパンでした。なぜかというと、当時のカトリックの禁止令で、アドヴェント期間中に、バターと牛乳の摂取は禁止されていました。

1430年に、ザクセン州の王子が、ローマ教皇にバターと牛乳の摂取許可を求めました。やっと1491年に、教皇インノセント(Innozenz)8世が、皇室と教会の建設費を出資した人のみに、「バター食用許可証(Butterbrief)」を公布しました。その後バターと牛乳を使ったシュトーレンは国全体に広まりました。

シュトーレンの種類

シュトーレンの種類

シュトーレンは定番のラム酒漬けドライフルーツとナッツのものだけではなく、他にもいろいろな種類があります。各家庭、お店や地域によって、使う材料の違いや、作り方の手順が違ったりします。ですから各家庭ごと、お店ごとにそれぞれの独自の美味しいシュトーレンがあります。ウィキペディアによると、ドイツで作られる主なバリエーションは主に以下の七種類です。

マンデルシュトレン(Mandelstollen) – アーモンドパウダーなどを練りこんだもの
マルジパン / ペルシパンシュトレン(Marzipanstollen / Persipanstollen) – マジパン、またはペルシパンを練りこんだもの
モーンシュトレン(Mohnstollen) – ケシの実を練りこんだもの
ヌッスシュトレン(Nussstollen) – 各種ナッツを練りこんだもの
ブターシュトレン(Butterstollen) – 外側にバター、中にレーズンやアーモンド、ドライフルーツを練りこんだもの
クワルクシュトレン(Quarkstollen)– クワルクチーズ、フレッシュチーズなどのチーズ製品を練りこんだもの
ドレスデン式シュトレン(Dresdener Christstollen) – ブターシュトレンの一種、2010年にEUから地理的表示の認証を受けた。保護組合に加盟するドレスデンとその近郊の製造者が一定の製造基準を満たした場合に限り、ドレスデン式シュトレンの名称を使うことができる。
<出典:Wikipedia「シュトレン」>

シュトーレンの特徴

発酵すること

シュトーレンはベースの生地に酵母を加え、一次発酵後にたっぷりのラム酒浸けのドライフルーツ、ナッツを練りこんで、再度発酵してからオーブンで焼くので、パンに近い作り方です。発酵することで、深い味わいになり、生地も膨らみますので、「坑道」と似た形のシュトーレンができるわけです。

作るのに時間がかかる

シュトーレンは生地の発酵から焼き上がりまではパン作りとほぼ変わりませんが、仕込みの段階で結構時間がかかります。なぜかというと、生地に混ぜ込むドライフルーツを洋酒に漬け込むためです。

ドライフルーツを洋酒漬けすることで、アルコールの効果により日持ちが長くなります。また、洋酒の香りも加わって風味も味わいも格段によくなります。早いところは2か月や半年前から仕込み始めるそうです。

シュトーレンが長期保存できる訳

シュトーレンはクリスマスのアドヴェント期間中ちょっとずつ食べるものです。そのために日持ちしなければいけません。生地に砂糖と洋酒漬けドライフルーツをたっぷり使うのは日持ちさせるためです。

そして、焼き上がりに溶かしバターをたっぷり全体に塗ることで、シュトーレン内部の水分の蒸発を防ぎます。さらに、粉砂糖がバターの表面を覆うことで、空気に触れにくくなり、バターの酸化を防止する役割があります。シュトーレンは油分と糖分でコーディングすることにより保存性が上がります。

シュトーレンの美味しい食べ方

出来立てのシュトーレンはすぐに食べずに、美味しくなるのを待つのです。置けば置くほど、バターとドライフルーツが生地に染み込んで美味しくなります。シュトーレンにしっとり感が出てきた頃が食べごろです。

シュトーレンを食べる時に、端から切らずに、真ん中から食べる分だけを切って、残ったシュトーレンの断面をくっ付けて、乾燥するのを防ぎます。

ホームベーカリーでシュトーレンの作り方

今回、自宅でも簡単に作れるシュトーレンの作り方を紹介します。生地をホームベーカリーに任せて、あとは成形と焼成だけなので、生地を捏ねるのが面倒だと思う方にもおすすめです。

材料:(約4本分)

2個(100g)
牛乳 220ml
砂糖 50g
アーモンドパウダー 50g
7g
強力粉 450g
お好みの香料 5g
ドライイースト 10g
無塩バター 100g
ナッツ(クルミ、アーモンド) 100g
洋酒漬けドライフルーツ 200g
無塩溶かしバター 50g
粉砂糖 たっぷり

香料はオールスパイスとカルダモンパウダーを使いましたが、お好みのもので大丈夫です。
このレシピは時間短縮のため、ドライフルーツをラム酒に漬ける手間を省き、洋酒漬けのドライフルーツを使いました。

作り方

1 卵からドライイーストまでの材料をホームベーカリーに入れ、生地作りコースでスタートします。約5分後に、常温に戻したバター100gを入れます。ここで一次発酵まで任せます。

2 生地ができたら、台に出して、洋酒漬けドライフルーツとナッツを加え、手で捏ねながら混ぜ込みます。生地が結構べた付くので、打ち粉とゴム手袋をしましょう。

3 均等に混ざったら、4分割します。一つずつ成形します。
生地を楕円形に伸ばし、麺棒で真ん中に折り目を付けてから、二つ折りにします。
シュトーレンの形に整えてから、35度のオーブンで40分間二次発酵します。

成形したシュトーレン発酵済みシュトーレン

4 180℃予熱したオーブンに30分焼きます。焼き色を見ながら焼き時間を調整してください。
焼き色が濃くなりすぎないように、途中でアルミホイルを被せておきましょう。

焼き上がりシュトーレン

5 焼きあがってすぐに、溶かしバターを全体に塗ります。完全に冷めたら、粉砂糖を振りかけます。

粉砂糖かけたシュトーレン半分に切ったシュトーレン
6 乾燥しないようにラップで包み、冷暗所で保存して下さい。

まとめ

クリスマスサンタ

今回は、シュトーレンについていろいろ調べた結果、こんなに長い歴史と背景があることに驚きました。もうすぐクリスマスです、家族で食卓を囲む時、クリスマスの話題の一つとして、家族にシュトーレンのお話をすると、きっとほっこりするクリスマスになりそうですね。では、素敵なクリスマスを!

Merry Christmas and Happy New Year!

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